福岡県を拠点にこだわりの雑木と花の庭・自然風庭園・ナチュラルガーデニングを御提案。
外構・造園の設計施工から一貫した管理まで。

福岡ガーデニング

造園工房

お気軽にご連絡ください。
TEL:0942-75-6200

お問い合わせ

「土づくり・・・」
隠れているけど、大切な部分。

私たちの仕事の多くは、個人住宅です。
団地などでは、造成時、小高い丘を削り堤を埋め、
元の姿が想像できないほど、風景が一変します。

大型重機が縦横に疾走し、強固な地盤を造ります。
やがて家が建ち、私たちはその中にあるお宅に仕事に伺います。
ほとんどの造成地は、真砂土で埋め立てられています。この真砂土は有機物がなく
踏圧がかかると締め固められ、ガチガチの地盤となります。

建物にとっては良くても、こと植物を植えるとなると・・・。

締め固めた真砂土の土壌は、雨水の透水性、酸素の通気性が低下し、
ただ穴を掘って樹木を植えても、健全な育成はのぞめません。
環境が不健全だと病気になる。これ人間と全く一緒です。

写真
※根っこが傷んで枯れ下がり樹形がくずれた庭木
写真
※透水性・通気性が著しく悪い為、雑草が繁茂する状態。

庭が健全に育つための彩園の取り組み。

締め固めた真砂土という過酷な土壌環境下で、
どうすれば、木々が美しく育ち潤いに満ちた風景を作り出せるか。
試行錯誤を繰り返して、その時々最善と思える工法で取り組んだ先にたどりついたもの。

雑木を用いて、暮らしと心の中に美しい空間を作り続け、
のみならず、頻発する自然災害への憂慮から、
環境の再生を多方面に発信し続ける、高田造園設計の高田宏臣氏。
心の師と仰ぎ、その薫陶を受け、彩園が総力を挙げて実践する、
自然の摂理にさかわらず、水脈と通気を重視する『土の中から庭を考える工法』
微生物による土づくり。植物が健全に育つための試み。

以下、その取り組みを紹介します。

先ず、庭木を植栽する範囲をよくほぐします。無機質な真砂土の地盤はよく締っていて
いつまでも硬いままで、重機が使えないときは手作業です。
ツルハシや削岩機の作業になることも多く、骨が折れます。

写真
※雑草が生い茂る表土のすきとり。

素掘りの縦穴、横溝掘りを施し、地形に落差をつけることで、
土中の水と空気を動かします。

写真
写真

掘り進めていくと、地中では、酸欠と滞水により、土がグライ化(腐敗)。
この状況では、樹木が根腐れをおこし、結果、生育不良となります。

写真
※約1m下にグライ化した地層が出てきた。
写真
※グライ化し腐敗した地中の状態。

グライ化を起こした土層に酸素がいきわたるように掘り進み、
空気孔を設置し炭と有機物(枝葉)を混入。
これに枝葉を敷くことにより、
根鉢の重量による下地土壌の圧密を防ぎ、微生物を深部へ誘導する効果があります。

写真
写真

地中の改善を施した後は、
幾種類もの有機物を真砂土に混入し、微生物が活動し易い素地を作ります。

さらに、埋め戻す際は、樹木がスムーズに発根するために、多量の有機物を投入し、
土の団粒化をうながします。

写真
写真

そして、いよいよ植栽です。
土中に施した、自然素材の暗渠と炭と枝や腐葉土、ピート、牡蠣殻などの有機物。

微生物が活動し易いステージでは、やがて命が循環し、
豊かな土壌へと生まれ変わります。

写真

・炭が地球を救う!

長崎県佐世保市で、自然界の営みに沿って、生ごみや草木を土に戻し、
微生物(菌ちゃん)の力を活用して、無農薬で虫のつかない野菜を育てる、吉田俊道氏。
吉田氏が推奨する、炭焼きの実演、勉強会の機会があり、研修に行きました。

以下、吉田氏から教わった、畏るべし、炭の効用を紹介します。
(西日本新聞連載 菌ちゃんありがとう)より抜粋

 炭は燃料として用いるだけでなく、においや有害物質の吸着、
農業でも腐敗菌を抑えて、有用菌を活性化させ、畑に混ぜ込むなどして昔から使われてきました。
もみ殻や竹、木などは、そのまま土に入れると、時間はかかるけど
全部菌ちゃん(微生物)の餌になり、最終的にはフカフカの土になります。
でも、それらの有機物を高温無酸素状態にして炭化、いわゆる「炭」にしてから土に入れると、
菌ちゃんにとっては土壌の温度や湿度、酸素や餌の量など環境の激変から身を守ることができる、
安全で快適な巨大アパートになってくれるんです。
そのおかげで有用菌ちゃんたちは活性化。その結果、土の中の有機物は、
腐敗ではなく発酵へと向かう傾向が強くなるわけです。

最近多発している未曾有の風水害は、地球温暖化によるところが大きいといわれます。
原因の一つが、便利さを求め大量の二酸化炭素(CO2)を排出している私たちのライフスタイル。
知らず知らずのうちに一人一人が温暖化の小さな加害者になっているわけです。
炭は、木や竹に含まれる炭素(炭水化物)の2割を燃焼し、その熱で残り8割を燃やさずに炭化、
つまり炭素として閉じ込めたもの。言い換えると、
炭を作ることで材料の木や竹が吸収したCO2の8割を固定できるのです。

成長期にある木はCO2をよく吸収しますが、今の日本の山林の多くは成熟期にあり、

CO2の吸収量と排出量はほぼ同量。大気中のCO2が減ることはないのですが、

間伐した木を炭にしたり、新たに木を植えたりすれば、固定されるCO2量は増えます。
環境省の全国地球温暖化防止活動推進センター(東京)によると、
大ざっぱに言えば、約12トンの炭を作れば、それと同量が固定できる計算です。
私が使っている炭焼き器だと、一回約二時間で300キロ以上の炭ができます。
月に3回、炭焼きすれば年間12トン。だから造園業・農業に携わる人たちが
炭を活用し始めたら、CO2を増やす側から減らす側に回ることになる。

これこそが、炭が地球温暖化の切り札になる理由です。
私の炭焼き器(無煙炭化器)は、直径1.5メートルのおわん型をしたステンレスの中で木や竹を燃やす単純構造です。

写真
写真

ステンレスが熱線を反射させて集めることによって高温燃焼するので、目に染みるような煙はほとんど出ません。
しかも高温だから燃えるのが早い。上に上に木や竹を入れていくことにより、
内部は無酸素高温状態になり炭化していきます。

最後に水をかけながらかき回すと完成です。

炭を焼くこと、その炭を使って植物を育てることが、地球の環境を守るうえで、
いかに有益であるか。改めて気づかされ、それを知ったときに、
新たな風景が広がった気がしました。

これを踏まえて彩園の取り組み・・・SDGs時代でのごみ対策

個人邸や街路樹などを剪定した際、けっこうな量の剪定ゴミが出ます。
これを処分する場合は、焼却場で燃やしたり、堆肥工場へ搬入したりで、手間も料金も発生します。

地球環境のことを考えればゴミではなく、資源として活用することを目指すべきではないでしょうか。

現在、時間を見つけては、畑に小さな枝葉を積み、堆肥として、
また頃合いの枝は、炭の原料としてストックして乾燥させ、
極力捨てずに利用する取り組みを、行っています。

写真
※圃場で山積みし堆肥化させる剪定枝葉
写真
※無煙炭化器(左)と炭になるのを待つ枝
写真
もみ殻をもらってきます。 
写真
自家製燻炭製造機械(超単純)
写真
もみ殻燻炭の出来上がり(自家製だから遠慮なく使えます!)

今はまだ小さな取り組みではありますが、その積み重ねが、足元から少しづつ広がって
きれいな大気と豊かな土壌への改善になるように。
ひいては温暖化に歯止めをかける、一助になればと、願ってやみません。

写真
写真
「HOMEへ」